確定申告に備えておくべきもの
- 税の西田

- 2025年12月18日
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Q 質問
令和7年分も農業所得と不動産所得を青色申告で確定申告します。今年は公的年金のほか、次のようなことがありました。申告にあたって留意すべきことがありますか。
①長男(大学生)のアルバイト収入は180万円でした。
②米価が上がったので農業収入は前年比150%でした。
③貸家をリフォームして1,000万円を支払いました。
④被相続人(父)が住んでいた居宅を相続してから譲渡しました。
⑤上場株式を売却して500万円の損失が出ました。
⑥住宅用地としてA社へ1,000㎡の土地を譲渡しました。
A 回答
今年の主な改正点
所得税の確定申告は申告納税制度のもとで、一年間の所得と納税額を自ら計算して確定させる機会です。確定申告は納税者の義務であり権利でもあるのです。今年は給与所得控除が65万円に引き上げられ、基礎控除も所得額に応じて10万円から最高47万円まで引き上げられました。控除対象配偶者や扶養親族、ひとり親、勤労学生に該当する所得金額要件も48万円から58万円に引き上げられ、控除額もそれぞれ10万円引き上げられました。19歳以上23歳未満の特定扶養親族については、特定親族特別控除(所得に応じて3万円から最高63万円)が新設されました。長男(大学生)のアルバイト収入が180万円ありますが、合計所得金額が115万円でも特定親族特別控除を11万円受けることができます。
農業は収入増対策
7年産米の共同計算では前渡金が引き上げられ奨励金等が増えたことから農業所得は黒字に転じたようです。後半になって作業場を改修し青色専従者給与を見直すほか、農機具を買い替えるなどの動きも見られます。
経営基盤強化準備金の積立
認定農業者であることなどを要件に経営所得安定対策の交付金収入をもとに、農業経営基盤強化準備金を積み立てることができます。5年間積み立てた後にこれを取り崩し雑収入に計上しますが、計画した土地や農業機械を導入したときに、機械等の取得価額を圧縮記帳(圧縮損として費用を計上)することで節税するしくみです。
青色専従者給与の見直し
青色専従者給与を見直しすることができます。税務署長に「青色専従者給与に関する変更届出書」を提出して、届出金額の範囲内で、かつ適正額であれば支給額を変更することが認められます。青色専従者は他の親族の控除対象配偶者や扶養家族にはなれないので、所得要件より適正な支給額を考えます。
減価償却の特例
建物や構築物、農業機械などの資産は法定耐用年数にわたって取得価額を減価償却によって各年にその費用を配分します。簡便償却、一括償却、少額資産の即時償却などが認められていますが、一定の要件のもとで取得価額の全額を償却することができます。青色申告者で経営力向上計画を策定し、認定を受けた場合に農業機械等を導入すると、即時償却か税額控除とする経営力強化税制です。
賃料は契約にもとづいて
「翌月分を当月末までに支払う」と契約されている場合は、契約賃料を受け取っていない場合でも当月末に支払われたものとして収入金額とされますから、通帳や帳面の記録のみで決算しないことが大切です。
貸家の修繕費
支払総額が20万円未満の場合や定期的な修繕は全額必要経費とし、修繕費のうち建物の資産価値を高め耐用年数を伸ばすことが明らかな支出は資産計上して減価償却します。修繕費か建物かを区分できない場合は、修繕費用の30%を資本的支出とします。
相続した空き家の譲渡
被相続人が居住の用に供してきた居宅(昭和56年5月31日以前に建築したものに限る)とその敷地を相続開始後3年以内の年の12月31日までに譲渡した場合は、譲渡所得の計算上3,000万円の特別控除を適用することができます。当該土地建物が所在する市町村長の発行する「被相続人の居住用家屋等確認書」を添付することが要件になります。
上場株式の譲渡損失
上場株式の売買による損益は源泉分離課税とされていますから、他の所得と損益を通算することはできません。ただし、株式の売買で損失が発生したり前年以前3年以内に生じた譲渡損失がある場合は、他の株式の譲渡益または配当所得と通算することができます。損失を繰越控除するための資料を準備しておきましょう。
住宅用地の譲渡所得
先代から相続によって取得した農地を住宅用地として譲渡した場合は、長期譲渡所得として他の所得と分離して課税されます。相続開始から3年10ヶ月以内に譲渡した場合は譲渡した土地に係る相続税額を取得費として加算することができます。売買代金から取得費譲渡費用を差し引いた譲渡所得に対して、所得税と復興特別所得税と合わせた15.315%、5%の住民税を合わせた20.315%が課税されることになります。開発許可を得て優良な住宅地の造成分譲をするための譲渡に該当すれば、譲渡所得のうち2,000万円までの部分は所得税14.21%(所得税・復興特別所得税10.21%、住民税4%)の税率になります。
(『広報ほくさい』・『JA埼玉みずほ』2025年12月号掲載)
※漫画は生成AIにより作成したものです。



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