相続対策として加入する生命共済のしくみ
- 税の西田

- 10月25日
- 読了時間: 4分

Q 質問
私は今年60歳の還暦を迎えたので、相続対策として生命共済へ加入しようと思っています。どんなしくみが役に立ちますか。終身共済と養老生命のどちらが最適ですか。誰のために、いくらまで加入すべきでしょうか。
A 回答
相続対策とは
相続が発生すると、家族の生活のしくみが変わります。被相続人の財産と債務は相続人が承継すること、一定の財産があると相続税の申告と納税が必要になること、後継者は祭祀を主宰し家業を承継しますが、これらの権利義務をめぐって争いになることがあります。「生者必滅」「会者定離」のことわざのごとく、相続はいつか必ず発生するものです。起こりうる出来事を想定して今から将来に備えることが相続対策です。
なぜ共済なのか
いつ発生するか分からない相続では、お葬式費用、生活の立ち直り資金、相続税の納税資金、遺産分割の代償金、遺留分の侵害、家業の承継費用などの支出が見込まれます。想定される課題を金銭に見積もると多額になります。これを金銭で今すぐ用意できるのが共済や保険なのです。
共済の効用
蓄えで生きる高齢化社会では必要以上の収入を期待できず、まとまった資金も入ってこない時代だから、共済の役割が見直されています。月々の家計簿を40万円とし、生活の立て直し期間を10年とすると年利1%で毎月40万円を生み出す元金は4,600万円にもなります。この元金を貯金で準備すると毎月10万円積み立てても40年かかる計算です。共済は契約した途端に目標とする金額を満たしてくれるのでその効用は大きなものがあります。
養老生命か終身共済か
いずれの共済も必要とする保障額を得られますが、養老生命は満期が到来して途中で契約が消滅してしまうのに対して、終身共済は相続が始まるまで保障が続き、相続開始時に目標とした共済金が支払われます。しかも一定額まで非課税とされるので相続対策の恰好の手段になっています。相続が開始した時に必要な資金を必要とする人に支払われる共済金は確かな遺言ともいえます。
誰のために加入すべきか
共済金は相続開始によって資金を必要とする人を受取人にします。生計を支え祭祀を主宰していく人、家業を継承する人、被相続人の債務を負担し家産を守っていく人、被相続人の生活と仕事を相い続ける人たちです。就学中の子や孫たちも対象になります。
共済掛金の払い込み
相続対策として加入する生命共済は、対象者が被共済者になって共済掛金を負担し、受取人を指定するのが役に立つ契約形態です。掛金の原資は被相続人の収入または蓄財としての預貯金を当てます。払込期間に余裕がある場合は月払いか年払いとし、相続が近い将来に想定される場合は全期前納払いや一時払いとします。必要な保障額を得るには掛金負担も比例し、まとまった資金が必要です。有価証券や遊休地を譲渡換金するなど、財産の組み換えによって最適な財産構成にしておきます。
納税資金を準備する
被相続人の財産を診断すると相続税の総額を知ることができます。預貯金の現在高に、近い将来の入金額を加え、見込まれる臨時の支出額を控除して金銭納付額を算定します。不足額は延納とします。なお不足する場合は借入れをするか土地を譲渡します。延納後10年以内の特定物納とすることも考えられます。そこで、納税想定額相当の終身共済に加入して確かな納税を準備するのも賢明な解決策です。
家族の生活保障
少なくとも、法定相続人1人当たり500万円の非課税金額を目標とします。いざという時にいくらかかるか、配偶者の生活費、子どもの教育費、子どもの結婚・独立費用、家族の医療療養費などは普段の支出額をもとに試算できます。およそ10年間の確かな収入が保障されると遺族は立ち直れるでしょう。
いくら加入すべきか
共済加入の目的が納税資金であれば、金銭によって納付することが困難な金額を加入目標にします。贈与または遺贈によって他の相続人の遺留分を侵害した場合は当該侵害額は現金で支払うことになります。侵害額を共済金で支払う場合の加入目標は当該侵害額相当とします。均分相続を前提に遺産分割協議に臨む相続人への、いわゆる「判子代」は遺留分の20%に多からず5%に少なからずを予算します。代償金とすれば遺留分相当額を準備することになります。
(『広報ほくさい』・『JA埼玉みずほ』2025年10月号掲載)



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