Q 質問
所得税や住民税を納める人に定額減税があるそうですが、いつから始まるのですか。誰でも受けられますか。所得税や住民税がかからない人には他に何か給付があるのですか。
A 回答
令和6年度の税制改正では、デフレからの脱却、成長と分配の好循環をつくるために税制の役割が期待されています。とくに賃金上昇が物価高に追いついていかない国民の負担を緩和し、消費を下支えするためにあらゆる施策が講じられています。そのうち所得税と個人住民税について一時的な措置として定額減税、低所得者への定額給付が行われます。
定額減税を受けられる人
定額減税を受けられる人は、所得税や住民税の納税者です。ただし、令和6年分の合計所得金額が1,805万円(給与収入で2,000万円)を超える高額所得者は除かれます。なお、納税者は国内に住所を有する個人または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人(居住者)です。
定額減税額は
減税額は、納税者および納税者と生計を一にする配偶者を含む扶養親族1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)が所得税、住民税から税額控除されます。税額が無い場合や控除しきれない部分は定額給付を受けることになります。なお、納税者と生計を一にする配偶者および扶養親族(いずれも青色専従者等を除く)に該当するかどうかは令和6年12月31日の現況にもよりますが、合計所得金額が48万円以下の人であることが要件になります。
給与所得者の減税
給与所得者については、給与等の源泉徴収において源泉徴収税額表の甲欄が適用される人の令和6年6月支払いの給与の源泉徴収税額から控除し、引ききれない部分は7月以降に順次控除します。なお引ききれない場合は年末調整の際に住宅借入金等特別控除後の年間の所得税額との精算を行います。
事業所得・不動産所得者等の減税
事業所得や不動産所得のある人は確定申告で減税を受けることになります。このうち予定納税対象者には第一期の予定納税(令和6年は9月末日までに納付)通知の際に本人分3万円を控除した額が通知され、配偶者や扶養親族の分は予定納税額の減額承認申請によって通知税額から控除します。
公的年金所得者の減税
公的年金所得者の減税は、6月分以降の年金支給分の源泉徴収税額から控除します。引ききれない場合は8月、10月と順次控除することになります。
住民税の減額
給与所得からの住民税の特別徴収のうち6月分は徴収せず、7月から翌年5月分は定額減税後の税額を11ヶ月で均等に徴収されます。同じく特別徴収の対象になっている年金所得者の減税は10月分の特別徴収税額から控除し、控除しきれない場合は12月以降から控除します。普通徴収対象の事業所得や不動産所得のある人は住民税の第1期分(6月)から控除し、引ききれない部分は第2期分(8月)、第3期分(10月)、第4期分(1月)から順次控除します。
青色申告者の減税事務
青色専従者給与を支払う事業者は、扶養控除等申告書を提出している青色専従者(甲欄適用者)に対して令和6年6月1日以後に支払う給与等に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除し、年末調整時点の定額減税額を精算します。したがって、青色専従者としての配偶者や扶養親族は事業者の減税額の対象から除かなければなりません。なお、事業者は「各人別控除事績簿」の記入と「給与所得の源泉徴収票」の摘要欄に所得税減税額を控除した旨を記入する必要があります。
住宅ローン控除の拡充
この他、子育て世帯や若者夫婦世帯における借入限度額の上乗せ、合計所得金額が1,000万円以下の者については床面積40㎡に緩和されました。認定住宅では4,500万円から5,000万円へ、ZEH水準省エネ住宅では子育て世帯の借入限度額は3,500万円から4,500万円へ、省エネ基準適合住宅では3,000万円から4,000万円にそれぞれ上乗せが行われています。
(『広報ほくさい』・『JA埼玉みずほ』2024年6月号掲載)
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