top of page
  • 執筆者の写真税の西田

インボイス制度開始後の消費税の申告と手続きはどうするの

Q 質問

私は20年前から農協の直売所などへ年間500万円ほどの野菜を出荷しております。令和5年9月30日までに適格請求書(インボイス)の発行事業者を登録しました。同時に簡易課税の選択届出書も提出しています。今まで消費税の課税事業者になったことがなく初めて提出する消費税の確定申告に戸惑っています。納めるべき消費税額はどのように計算するのですか。また、近々息子へ経営を移譲する約束をしています。これから息子がインボイスの発行事業者を登録するには、いつまでにどんな手続きが必要ですか。


 

A 回答

消費税の確定申告

令和5年分の消費税の確定申告は、令和6年1月1日から6年4月1日まで受け付けられます。すでにインボイスの発行事業者として登録されていますので、届出書を提出しなくても消費税の課税事業者になります。令和5年分の課税期間は10月1日から12月31日までの3ヶ月間です。消費税の申告書には課税期間における直売所や庭先での販売高(課税売上高)に係る消費税額、生産原価や諸費用(課税仕入)に係る消費税額、その差額(本則計算)を記載して納税します。なお、今年は消費税の申告様式が変わりましたので留意してください。


簡易課税(仕入控除の特例)

簡易課税制度は中小事業者(前々年の課税売上高が5,000万円以下である事業者)のために、みなし仕入率による仕入税額を計算する特例です。課税売上高に係る消費税額にみなし仕入れ率を乗じたものを控除対象仕入税額とします。本則計算によると野菜農家の場合の仕入率は45%程度ですが、簡易課税制度を選択すると農業は第三種とされみなし仕入率を70%として計算することができます。軽減税率が設けられたことによって、野菜やお米などの食料品を生産する農業は第二種とされ、みなし仕入率は80%になりました。なお、簡易課税のみなし仕入れ率のうち花卉や酪農畜産は第三種の70%、農機具の下取りは第四種の60%、農作業を受託した場合も第四種の60%になります。


有利な2割特例

インボイス制度の導入によって免税事業者が課税事業者になった場合の負担軽減策として、令和5年10月1日から令和8年12月31日までの消費税課税期間に限り、飲食料品だけでなく課税売上に対する消費税額の2割を納めればよいとする特例です。野菜やお米を生産する農業者が簡易課税制度を選択した場合の納税額は売上に係る消費税額も2割相当ですが、2割特例は簡易課税制度の特例を受けていなくても適用することができます。売上の中に飲食料品のほか花卉、酪農、畜産、農作業の受託収入、事業用資産の売却代金などが含まれている場合は2割特例を適用した方が有利です。2割特例を受ける場合は申告書上に適用を受ける旨をマークするだけでよく、届出等の手続きは不要です。


簡易課税か2割特例か

なお、簡易課税を選択している場合であっても、この課税期間においては申告時に2割の特例を選択することができます。2割特例はインボイスの登録をしなければ免税事業者となるような小規模事業者を対象とするだけに、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える課税事業者、すでに課税事業者選択届出書を提出している場合、課税期間の短縮の特例を受けている場合には適用がないので留意してください。


消費税の確定申告と所得税の必要経費

例えば、令和5年の課税期間中の野菜の売上高が216万円であった場合の課税標準額は200万円(216万円×100/108)、この消費税は124,800円(200万円×6.24%)、控除対象仕入税額は99,840円(124,800円×80%)、納付すべき消費税額は24,900円(124,800円-99,840円)になります。納付すべき地方消費税は7,000円(24,900円×1.76/6.24)、納付すべき消費税および地方消費税の合計税額は31,900円になります。この31,900円は令和6年分または令和5年分の農業所得の計算上必要経費に計上することができます。なお、納付すべき消費税の額は百円未満を切り捨てます。


相続があった場合の2割特例

インボイスの登録開始日の前日までに相続が発生し、被相続人の基準期間中(前々年)の課税売上高が1,000万円を超える場合は2割特例の適用はありません。相続人がインボイスを登録した後に相続が発生したときは、被相続人の基準期間中(前々年)の課税売上高が1,000万円を超える場合でも、相続があった年についてだけは2割特例を適用することができます。


これから始めるインボイス

父が登録したインボイスの発行事業者の地位を経営移譲することはできません。息子さんは所得税における開業届、青色申告承認申請などとともに、改めて適格請求書発行事業者の登録申請が必要です。この登録申請書の提出期限は登録を受けようとする日の15日前までに税務署長に提出しなければなりません。免税事業者が適格請求書発行事業者を登録して消費税の課税事業者になった場合は、課税期間の途中でも消費税の簡易課税選択届出書を提出して、仕入税額を簡易課税制度によって計算することができます。


(『広報ほくさい』・『JA埼玉みずほ』2024年2月号掲載)

閲覧数:10回

最新記事

すべて表示
bottom of page